エアラインは飛ばす路線をどのように決めているのか

Curiosity Streamから公開されていた “How Airlines Decide Where to Fly” 、非常に興味深いものでしたので、今回はこの動画の内容をまとめるとと共に幾つか考察をします。

抄訳

  • エアラインは正しい路線を飛ばせば多額のマネーを稼ぐことが出来るが、間違った路線を飛ばせば多額のマネーを失うことになる
    • ブリティッシュ・エアウェイズはロンドン⇔ニューヨーク間のフライトで年間で$10億を稼ぐ(Wikiのデータから察するに売上)
    • アメリカンはシカゴ⇔北京間のフライトで年間$1000万を失う
  • 良い路線を飛ばせるか飛ばせないかが、利益の上がるエアラインになるかそうでないかを決定する
  • 2015年、アメリカの主要エアライン(アメリカン、デルタ、ユナイテッド)は101の新しい路線を開拓した。アメリカンの開拓した路線は70%、デルタは76%、ユナイテッドは85%の路線が現在でも残っている路線である
  • エアラインが飛ばす路線を決める際の主要な2つの要素は「どれだけの人がその目的地に行きたいか」、「利用客は幾らまでなら払うのか」である
    • 「どれだけの人がその目的地に行きたいか」は、エアライン自身も関連する膨大なデータを保有しているが、エクスペディア等のフライト比較サイトからもデータを購入して、検討に使用している
  • エアラインは、どの路線が最も儲かるのかを理解する必要がある
  • 検討を基にして、新たな路線を始めたいと思っても、すぐに始められる訳ではない。飛行機はもちろん、政府からの許可、スポット等が必要となるからである
  • 一般に、新しい路線を飛ばすために最初の試算をしてから、実際に飛行機が飛び始めるまでには数年の時間がかかる

ざっと耳に残った所だけ、抄訳しましたが、興味深いのは太字の部分です。

ANA、JALにおける2019年度の新規就航路線

ANAとJALについて取り上げてみます。どちらも公式のサイトから引っ張ってきているものですが、新規路線が全て網羅されているかどうかは不明です。

2019年度 ANAグループ航空輸送事業計画を策定|プレスリリース|ANAグループ企業情報

JALグループ、2019年度路線便数計画を決定 | プレスリリース | JAL企業サイト

※ 以下では、上記の資料を基に、増便や機材変更については触れず、旅客機における純粋な新規就航路線のみを挙げています。

国際線

  1. 成田⇔パース(ANA)
  2. 成田⇔チェンナイ(ANA)
  3. 成田⇔シアトル(JAL)

国内線

なし

2019年、ANAとJALにおいて、トータルで3路線の新規就航が予定されているようです。

新規就航路線から日本国内の航空産業について考察してみる

まずは、事実を改めて整理しましょう。

  • 国内線における新規路線は0
  • 国際線における新規路線は3つ

そもそも、比較対象がアメリカなのが心苦しい所ですが、アメリカの主要エアラインの年間101の新規路線と比べるとANAとJALにおける新規路線3つという数字は非常に小さな数字に見えます。

幾つか理由があると思います。アメリカと比較して考察してみます。

  • 国内線
    • 航空燃料調達コストがアメリカよりも間違いなく高い(はず。ジェット燃料とは違うが、小型機用の航空燃料の市場価格はアメリカの2.5~3倍程度)ために、新規路線を就航させるに当たり、採算を取れるボーダーラインが高い
    • アメリカに比べて空港の数が圧倒的に少なく、そもそも、就航出来る路線が少ない。加えて、既に太い需要が取れる路線(採算が取れる路線)を取り尽くした
    • 陸のインフラが発達している日本。「世界が羨む新幹線!」があるため、航空インフラが果たす役割がアメリカよりも軽微
  • 国際線
    • 儲かる路線が少ない
    • 競争に勝てるだけの競争力が無い(後述)

と、まぁ、誤解を生みそうな表現もありますが、自分の考えを箇条書きでまとめました。

先程の動画でも触れておりましたが、国際線を運航するエアラインにおいては、エアラインの国籍と同じ国籍の乗客が最も多いです。日本のエアラインなら日本人が一番多いという具合ですね。これは感覚的にも一致します。

ここから考えても分かりますが、人口が減少している日本で、日本のエアラインが国際線を飛ばす際、最高の客となる日本人が減っている訳ですから、人口が増えている国に比べて、イケイケドンドンで新規路線を飛ばせるはずがありません。こんな背景も「競争力」の一つとして捉えた結果、上記の通りの「競争に勝てるだけの競争力が無い」という表現になりました。

ですから、ある程度ルールで守られた国内で、回転率を上げながら、利益を出すのが現在の日本のエアラインの実情と言えそうです。

まとめ

つまり、何が言いたいかと申し上げますと「ANAとJALに属さない第三極のエアライン頑張れ」、そして、そのために「私をスカイマークに入れろ」ということです。

※ スカイマークは第三極を掲げていますが、資本的には15%ほどANAが入っています。

はい。全然関係無い結末になりましたね(笑)。

ご清聴ありがとうございました。