視界不良による錯覚(訓練 43 日目)

~ 訓練日記は実際とは時系列を変えています。ご了承ください ~

「パイロットとは天気商売である」教官が良く言っていることです。簡単に言えば、コロコロ予定は変わりますよ。ということを指しています。天気を完全に予測するのは今でも無理ですからね。

今日は天気と関連して「錯覚」について記録を残します。

人間には多くの優秀な(?)センサーが備わっています。代表的で分かりやすいのが目だったり、耳だったりします。これらの器官を通じて外界の情報をセンシング(取得)します。このセンサー、簡単に狂います。

具体的な例でお話します。

下から見ると少し靄らしいものが発生していて視界が悪そうだったけれど、上空まで上がれば靄の影響もなくなり訓練ができるだろう。そんな日でした。

離陸して、予定通りどんどん高度を上げていきましたが、一向に視界は広がりません。むしろ上に行けば行くほど悪くなっているのではないかという状況でした。

訓練生の私たちは綺麗に水平線が見えていても上手に飛ばせないのですから水平線も見えない状態では真っ直ぐ飛ばせるはずがありません。

そんな状況の中々、体感では何も見えないくらいの靄になってきました(後に確認すると視程は5kmほどだったということでした)。すると錯覚が生じます。自分が今、どんな姿勢で飛行機を飛ばしているのか分からなくなるのですね。

隣席の教官も同様です。ですから教官はひたすらに計器を追いかけ、私たちも計器で姿勢を知ります。そして、姿勢を水平状態に直します。しかし、訓練を始めたての私たちには荷が重すぎます。どんどん不安定になり、気持ち悪くもなってくる気がします。

そうして、始めての錯覚体験が終ったのでした。「人間の感覚(センサー)は簡単に狂ってしまうので、感覚に頼りすぎるのは気をつけましょう」という話でした。